「ぶり奨学プログラム」は4つの柱をもったプログラムです。具体的には、以下の事業や制度で構成されております。
単なる就学支援だけではなく、町に戻ってきた際の支援までトータルに行うことで、地域経済に好循環を生み出す仕組みとして設計されております。
1. 通常の金利より優遇された「ぶり奨学ローン」
2. ぶり奨学基金から元金及び利息相当額を補填する「ぶり奨学金制度」
3. 事業者やふるさと納税等から基金に寄付する「ぶり奨学寄付制度」
4. 出身の生徒・学生や卒業生の交流事業「ぶり奨学交流事業」
「ぶり奨学プログラム」には、他の給付型奨学金とは一線を画する3つの大きな特長がございます。
《3つの特長》
1. 金融機関と提携していること
2. 補てんする原資を行政だけではなく、町民や町の事業者が負担していること
3. 特定の業種だけではなく、全ての町民を対象としていること
奨学金制度は、安心して子育てできるよう、これから生まれてくる子供たちが高校・大学等を卒業後10年間かけて返済・補填する期間は、制度として持続することが求められます。
そのため、長島町では、以下の条件を満たす金融機関と「ぶり奨学ローン」の協定を結んでおります。
1.「ぶり奨学プログラム」の理念に共鳴すること
2. 通常の金利より優遇された「ぶり奨学ローン」を創設すること
3. 事業者として「ぶり奨学基金」に寄付すること
4. 将来の財政見通し等について定期的に町と意見交換すること
5. 長島町内に支店があること
金融機関と提携したことで、既存の学資ローンのスキームを生かしながら、迅速で詳細な制度設計ができました。運用面における行政の事務負担の軽減にもつながっております。また、金融のプロから助言をいただき、将来の財政負担を平準化することにも成功しました。
更には、日頃から地域の事業者と密に接している地元金融機関には、行政以上にさまざまな事業者の求人情報が集まります。
それらの情報を利用者に適切に提供することで、地元に戻りたい利用者の方々と事業者をマッチングしています。
▽ 長島町は鹿児島相互信用金庫と提携
「ぶり奨学プログラム」は、鹿児島相互信用金庫のご協力のもと、構想から数か月という短い期間で実現することができました。
金融のノウハウや専門的知識を持っていない行政だけでは持続可能な運用は不可能です。
非営利組織の信用金庫は、銀行とは大きな違いがございます。信用金庫は営業エリアが法律により限定されていることもあり、融資残高や預金残高の減少に直結する人口減少に対して、自治体と共に危機感を共有できるパートナーとなりえます。
地元の後継者を育成するとともに、地元からの寄附を通じて地域内の経済の循環を促す長島町の「ぶり奨学プログラム」は、信用金庫だからこそできた仕組みです。
そして、最も大切なことが、補てんする原資を行政だけで負担しないことです。
地域の人口が減少すれば、地域の経済は衰退してしまいます。居酒屋から5,000円、介護施設から50,000円というように、町民・事業者の皆様ができる範囲で寄附をしております。制度発足3か月で寄附金は500万円を超えました。また、出身者を中心に、「ふるさと納税」における使途指定も広がりを見せております。
行政だけで補てん金を負担すると、「どうせ行政のお金だから」というモラルハザードが生まれる可能性や、将来の政治家が「もうやめた」という可能性も否定できません。
しかし、町の事業者や出身者が基金に寄付をしていると、「無駄遣いはやめよう」という気持ちが生まれ、将来の政治家も「もうやめた」ということになりづらい状況を作ることが可能です。
給付型奨学金の導入には、中長期的な運用には財源の確保に大きな課題があります。
しかし「ぶり奨学プログラム」モデルならば、町民・事業者の皆様が寄附をする(インセンティブがある)ので、財源の心配はほとんどなく、まさに持続可能な仕組みとなっております。
「ぶり奨学プログラム」の対象は、特定の職業に限定せず、全町民を対象としています。
特定の職業に限定しないからこそ、地域コミュニティで地域の子供達を支援するという意識が強まり、また町に戻ってきた際の地域求人とのマッチングも可能となります。
めまぐるしい変化に直面するであろう21世紀の社会において、時代の変化によって職業のあり方が変化していくことが予想されます。
その際に職業に限定を加えないことによって、より柔軟な支援を行うことができると考えています。
「ぶり奨学プログラム」の効果は上記だけではありません。
現在、長島町では、「ぶり奨学プログラム」がきっかけとなり、ぶりの全国的なPRの他、全国の自治体で初めて、辻󠄀調理師専門学校と連携した食のブランドづくりやカドカワと連携したネットの高校の拠点づくり(Nセンター)などが進んでいます。
《主な「予期せぬ効果」》
1.「世界一のぶりの町」としてのPR効果
2.同じく奨学金づくりを検討していた辻調理師専門学校と連携
3.ネットの高校設立のためにドワンゴ社と提携
4.提携金融機関から地域エネルギー会社への出資
5.ぶり輸出関税を見直しする交渉の開始
▽「ぶり奨学金制度」導入をご検討の皆様:
長島町 地方創生課 :TEL 0996-86-1111
▽「ぶり奨学金制度」に関するお問い合わせ:
長島町 教育総務課 :TEL 0996-88-5679
▽「ぶり奨学ローン」に関するお問い合わせ:
鹿児島相互信用金庫
長島支店: TEL 0996-86-1116
西長島支店:TEL 0996-88-6671